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さて、第二回は「TJSを使うと吉里吉里で何ができるのか?」について、眺めていきましょう。
とはいっても、吉里吉里そのものを話の中心に持ってくると、とても話に収拾がつかなくなってしまいます。吉里吉里の開発者であるW.Dee氏は、吉里吉里について「TJSで何かをするためのソフト」と話しています。つまり、TJSを使うと、何でもとは言いませんが、それに近いくらい色々なことを実現できるのです。
そこで、ここではKAGシステムに範囲を限定して話を進めることにします。
ところで、KAGシステムとは何なのか、ここでおさらいしておきましょう。
KAGシステムというのは「吉里吉里アドベンチャーゲームシステム」の略で、その名の通りアドベンチャーゲームやそれに類するゲームを作るのに特化したシステムです。絵や音楽、シナリオといった素材を準備し、それらをKAGシステムに用意されているタグを使用して記述されたシナリオファイルである「KAGスクリプト」にまとめることで、比較的簡単にアドベンチャーゲームやノベルゲームを作ることの出来る、素晴らしいシステムです。
先程「吉里吉里はTJSを使って何かをするためのソフト」であるということばが出てきました。吉里吉里プラグインと呼ばれる小さなプログラムを使って機能を追加したり、Windowsの機能を使ってムービーの再生を行ったりといったことも出来ますが、基本的に吉里吉里はTJS以外で記述されたプログラムを動かすことは出来ません。
あれ? それでは、KAGスクリプトの実行は、一体誰がやっているんでしょうか? わかりやすい答えとしては「TJSを通じて吉里吉里がやっている」といったところです。
KAGシステムは吉里吉里で動かすために、TJSで記述されています。言ってみれば、KAGシステムは、TJSで記述された吉里吉里アプリケーションであるといえます。
これはちょうど、WindowsなどのOSと、C++などのプログラミング言語、そしてWordやExcelといったWindowsアプリケーションの関係と同じです。ほとんどのWindowsユーザーはWindowsそのものを使うのではなく、そこで動いているアプリケーション、例えばエクスプローラを使ってファイルの整理をしたり、Wordで文章を書いたり、Excelで表を作ったりしますね。
同じように、KAGシステムを使用するゲーム制作者も、吉里吉里の存在を意識せずに、KAGシステムを使ってゲームを作っている(=KAGスクリプトを作っている)わけです。そのようにして作られたゲームのプレイヤーも、もちろん吉里吉里の存在を意識することはほとんどないでしょう。紙にプリントアウトされた書類を見た課長さんが、「これ、Wordで作ったの?」などと気にすることがないのと同じです。
WordやExcelなどのWindowsアプリケーションと、吉里吉里アプリケーションであるKAGシステムとの共通点は上に述べたようなことですが、違うところももちろんたくさんあります。その最たるものは、KAGシステムを形作っているTJSを使用して、ゲーム制作者が吉里吉里そのものを制御できるということです(ウィンドウを改造したり、ダイアログを制御したり、レイヤを自由に操作したり etc.)。さらにいえば、KAGシステムを改造することだって、簡単に出来てしまいます。
もちろん、そこまで使いこなすには、ある程度の勉強が必要です。でも、「KAGスクリプトで書くと、なんだかめんどくさいなぁ」という処理を、TJSでスマートに記述することくらいなら、2〜3日で出来るようになるでしょう(多分)。